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2015年9月12日土曜日

七人の使者(ブッツァーティ)

誰も竜の叫びに応えなかった、この世の中のなにひとつみじろぎを見せなかった。山々はじっと動かず、小さな土砂崩れさえおさまり、空は澄み、雲のかけらひとつなく、そして日は沈みつつあった。誰ひとり、獣も精霊も、この虐殺の復讐にはせつける者はなかった。この世界にからくも残存していたその異物を抹消したのは人間だった、いたるところに秩序維持のため賢明な法を打ち立てる利口で力の強い人間、進歩のために汗水たらす無欠の人間、山の奥深くにさえ絶対に竜が生き残ることなど認めることのできない人間なのだった。それを殺したのは人間であり、非難するのは間違いだろう。

竜退治

めいめいがおのれの山崩れを持っているのだ、ある者にとっては畑の上に土砂が崩れ落ちてきたり、ある者にとってはせっかくの堆肥土が流れてしまったり、またある者にとっては大昔の砂礫の雪崩だったりするのだ、めいめいがおのれの取るに足らない山崩れを持っている、だがそれは決してジョヴァンニにとって肝心なもの、彼に出世をもたらすような新聞記事を書きうるような大きな山崩れではないのだった。

山崩れ

「罪悪も、悔恨も、悲しみもない人生にいったいなんの意味があろう?」

円盤が舞い下りた

二人はなかに入り、薪を切って、火をつけた。薪はまだ湿っていたので、なかなか火がまわらなかった。だがふうふう吹いているうちに、やっとすてきな炎が燃え上がった。そこでガンチッロは火の上にスープのために水をいっぱい入れた鍋をかけ、それが沸き立つまで、二人は椅子に腰かけ、膝を火に温めながら、仲良くおしゃべりをした。煙突からは煙がひとすじ細く立ち昇りはじめた。そしてその煙もまた神だった。

聖者たち