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2015年8月17日月曜日

片手いっぱいの星(シャミ)

ハビープさんが、十世紀にあった評議会制のカルマット共和国の話をしてくれた。この共和国には、スルタンも金持ちも貧乏人もいなかった。人々は、衣服と刀のみを所有し、女性にも発言権があり、自分のほうから夫を離婚することもできた。幼稚園もあった。重労働の粉ひきはそれまでもっぱら女性の仕事で、そのため女性はすっかりまいってしまっていたのだが、ここでは中央の製粉所で行われた。六人からなる評議会が共和国を指導し、評議員は国民の集会でいつでも解任できた。また、評議員は無報酬で、収入は他の方法で得なくてはならなかった。子供たちは、宗派間の争いも知らずに大きくなった。共和国は、人間はみな平等であることを宣言し、それまで神のおぼしめしとされていた奴隷制度を廃止した。そして全国民に平和を約束した。この共和国は百五十年続いた。領土はペルシャ湾岸地域からシリアまであったが、その後、宿敵の隣接する各国がそろってこの共和国に戦いを挑み、共和国は彼らに敗れた。敵国は、共和国の女、子供をひとり残らず処刑した。いつの時代にももっとも危険な病原菌、すなわち自由で汚染されていたからだ。

片手いっぱいの星(シャミ)